あけましておめでとうございます。
特に新年とは関係なく、年末からやっていたゲームの感想を書きます。
『神椿市建設中。VIRTUAL REALITY』

こちらは Meta Quest 系向けの VR ADV ゲームです。旧機である Meta Quest 2 でもやれます。
公式サイト記載のジャンルは「新感覚VRアドベンチャー」で、ジャンル名から得られる情報量が限りなくゼロなのですが、本作は 2D ゲームとして先行して世に出ていた『神椿市建設中。REGENERATE』の VR 版ですのでジャンルは「SFダークファンタジー・テキストアドベンチャー」でいいと思います。
(私は REGENERATE のほうをやっていませんが、VIRTUAL REALITY の攻略にあたって REGENERATE の攻略情報を拝見し、ストーリーが全く同じであることを確信しました。選択肢レベルで同一です。)
ご存じの方もいるとは思いますが、このゲームはバーチャルシンガーの花譜らを擁する KAMITSUBAKI STUDIO のゲームです。
花譜らが同じ見た目の別人という立場でメインキャラクターとして登場し、ボイスや歌唱を担当しています。
私は花譜ら数人のバーチャルシンガーを知ってはいますが、「神椿市」を舞台とした物語については全く情報を入れていませんでした。
普通に彼女らの歌を聴いていただけなのに、急に「魔女」とかいう設定が出てきたので、中高生向けっぽい売り方だなと思って離れちゃったんですよね……。
それでもゲームをやろうと思った理由は、貴重なアニメ調の VR ADV ゲームだからです。
本当に貴重なんですよ。私は『ALTDEUS: Beyond Chronos』みたいなのをもっとやりたいんですけど……。
ゲームをやってみて、「化歩」ら物語の中のキャラクターが魔女なのであり、「花譜」らはボイスと歌唱担当であるという認識に塗り替えることができたのでよかったです。(実際は現実の花譜らが「電脳の魔女達」という売られ方をされてるけど……)
ネタバレなしの総評
- ストーリー
- とてもよい。「SFダークファンタジー」の名に恥じず、暗い展開の連続から最後に解決に向かうカタルシスが得られる。またプレイ中に感じた些細な違和感・疑問をきちんと設定で解消してくれて見事だった。
- ただ2周目で追加されるエンディングは微妙。
- キャラモデル
- とてもよい。REGENERATE の絵より 3D モデルのほうが本人らしさが表現されている。
- 歌
- とてもよい。
- ボイス
- バーチャルシンガー本人ボイスは一部棒読みっぽいところはあるが、許容範囲内。平均的に考えるとみんな上手だと思う。バーチャルシンガー以外は普通に声優がやってるので問題ない。
- 主人公の名前をデフォルトネームにしていると名前を呼んでくれて良い。(デフォルトネーム以外だとどうなるのかは知らない)
- シューティングバトル
- 一番低い難易度ならアクションが苦手でも問題ない。でも周回時にスキップできなくて面倒。
- あと公式サイトに書いてある通りバトルの結果でエンディング分岐が発生するのだが、敵の残り HP バーの量で分岐するので調整が大変。
- インタラクション要素
- 公式サイトにも書いてある「教会クライミング」だけは正解ルートが本当にわかりづらいので何とかしてほしい。
- 基本的には目の前でコントローラーを振り回せばいいのだが、人などに対するインタラクションの際に一歩前に出てコントローラーを振らないといけないことがあり、そこが大変だった。
- ゲームとしての出来
- 大小さまざまなバグがある。現時点ではバグのせいで収集要素のコンプリートができない。
総じて私はこのゲームのことをとても気に入っていますが、「ゲームとしての出来」が足を引っ張っており、現時点で他人におすすめするのは憚られます。
収集要素の中でも明らかにバグ由来で埋まってないものがあるんですが、他に埋まってないものがバグなのかそうじゃないのかがわからなくて、ADV ゲームをフルコンプしたい派の私のような人にとってはつらいです。
本ゲーム、REGENERATE も含めて攻略情報が全然世に出回っていないので本当にコンプリートする方法がわからない。
REGENERATE でもストーリーは追えるから、VR で ADV ゲームをやりたいという私みたいな人以外は REGENERATE のほうがいいかもしれないです。REGENERATE のほうが発売がはやいので、そっちはバグも直ってるんじゃないかな……。
REGENERATE の攻略は海外ファンが書いてくれています。
これで VIRTUAL REALITY のほうもストーリーを全部見ることだけはできます。見たはずのストーリーがストーリーチャートに記録されないんですけどね……。
これ以外の攻略情報をまるで見つけられなかったので、この海外ファンの方には大変感謝しています。
ネタバレありのストーリーに対する感想
ストーリーに対する感想です。かなりネタバレをするのでゲームをやる予定がある人はここで止まってください。
プロローグ
初対面の相手に「森先さん」と常識的な話しかけ方をした主人公に安心したのもつかの間、「名前でいいよ」と言われて「化歩ちゃん」と呼び始めて最初の解釈違いを引き起こしました。
苗字か名前かと、「さん」か「ちゃん」は別の話だと思うんですよね⁉
急に距離を詰めるな。
その後エリカが死んで主人公が魔法に目覚めるのですが、正直腑に落ちませんでした。
悪意のない純粋な気持ちで化歩を守りたいと願ったことが魔法のきっかけになったのなら、どう考えてもエリカも魔法に目覚めるべきです。
あと「魔女の娘」は歌うことで魔力を回復するのですが、主人公は歌いません。じゃあ主人公の魔力はどうするのか……?
この疑問は作中では特に指摘されないのですが、後にちゃんと解消されます。
化歩の魔法は回復なんですが、難易度が一番低い状態だとあまりお世話になりません。
狸眼の章
本作はメインヒロインが化歩固定のギャルゲーの性質を有しています。
サブヒロインには相棒的な立ち位置の人とガチ恋勢がいるんですが、狸眼は主人公ガチ恋勢です。
狸眼の話は少年少女の逃避行って感じでよかったですね。
グッドエンドでも結構絶望的な状況で終わります。人も死にまくるし陰鬱です。
魔法はシールド。使いどころがわかりやすくて良いです。
派流の章
相棒的な立ち位置になるサブヒロインです。
この話はネームドキャラクターが非常に多く出てきて狸眼とは対照的でした。
ちょっと人が死ぬけどあまり身近な人じゃないので狸眼の章より陰鬱ではない。
魔法は主人公の銃を連射可能にしてくれるんですが、あまりうまく使えませんでした。
世界の章
世界はどうなんだろう、ガチ恋なのかな……?
最後までプレイしても、その心の内は明かしてくれませんでした。物語の展開上は恋してもおかしくないのですが。
この章は「教会で祀り上げられている『魔女様』を救う」という設定がよかったです。
世界が自らの魔法によって死の運命を知っており、短い人生を他人を救うために捧げたいというのが刺さりました。
人があまり死なないのでそんなに陰鬱ではないです。
インタラクション要素の教会クライミングだけはどうにかしてほしいです。
攻略情報が出回ってないので詰むかと思いました。
正解のルートは、突き当たりまでまっすぐ登ったら左に移動し、正面扉上の円形のモチーフ部分を掴んで少し上に行き、蔦を掴んで上へ。という感じなんですけど掴めるところが本当にわからないです。
なおバトルにおいて、世界の魔法だけよくわかりませんでした……。
弱点が見えるというのはわかるんですけど、攻撃の軌跡が見えるようになるっていうのが全然わからなかった……。
此処の章
作中世界において唯一美人だと言われているキャラクターです。
主人公ガチ恋なのかどうかはよくわかりません。そんなに恋する感じでもない気はする。
此処の話は真相に近づいている感が楽しめました。
実は派流の章から「味方だと思ったら敵だった」パターンが続いていて、そろそろマンネリを感じてきていましたが、後からちゃんと物語上の理由が明かされます。
人は死にます。
ここまでの魔女の娘達は全員補助魔法だったんですが、此処は待望のアタッカーです。
バトル中勝手に攻撃してくれるし、魔法を発動すると轟音と共にエリア内のすべての的を破壊してくれて便利。
化歩の章
前半でメインヒロインたる化歩とイチャイチャするんですけど、主人公がここにきて急に「化歩ちゃんってこんなに可愛いんだ⁉」とか思い始めるんですよ。
何言ってるんだ。化歩は一目見た瞬間に可愛いだろ。お前の目は節穴か?
この章は本ゲームで最も陰鬱な章で、絶望の中で希望をつなごうとする激熱な展開がすばらしいです。
他の章と違って本当に救いが無い。
ここで諸々の謎も解き明かされていきます。エリカが魔法に目覚めなかった理由も、主人公が歌わないのに魔法を使っている理由もわかります。
真章
大団円に持っていく! という気概を感じる最終章です。
この章でよかったのは何といっても『L』の話ですね。
特に濃いネタバレなので畳みます
「俺が愛した化歩は死んでしまった。神椿市が何度蘇っても、あの化歩は戻ってこない」というL、もう本当によかった。
Lと一緒にいたときの化歩の記憶の卵は今の化歩には読み取れなかったんですね。
かつての此処の記憶の卵は読み取れたし、「魔力さえあれば他人の記憶の卵も読み取れる」というのが基本ルールであるため、ここはご都合主義的だと思いましたが……。
(卵を隠したのが誰かも明かされていないので、小説等の別媒体で補完されるのかもしれない。もしくは私が埋められていない収集要素に書いてあるかもしれない……。)
ともかく過去の化歩は今の化歩とは完全に別の存在であり、記憶も引き継いでいないので、Lが愛した化歩は戻ってこない。
今の化歩はもう別の人を『ファミリア』にして、その人に恋をしている。
あまりにもつらい。
エンディング付近は始祖のキャラクターが微妙でした。悪役なら悪役っぽく死んでくれ。微妙にいい話にまとめようとするな。
あと最後のエピローグで魔女の娘の誰と過ごすか選択させるのは人の心が無さすぎる。
化歩以外……無いだろ……! ここまで相棒として過ごしてきて、他の子を選ぶ奴がいるかよ……! 選ばれなかった化歩の気持ちを考えろよ‼
とはいえ一応全員のエピローグも見ましたが。
特に濃いネタバレなので畳みます
化歩を選んだ場合、作中唯一、主人公側から恋心を自覚します。さすがメインヒロインの風格です。
でも告白しませんでした。今から消える身ですからね。しょうがない。
狸眼は向こうから告白してきたところが良かったです。
自分の気持ちをはっきり言える子はいいですね。ガチ恋の中でも応援したくなります。
派流はすがすがしい相棒感。あの距離感で最後の時間を共に過ごす相手として指名されたら、さぞ驚いたことでしょう。
世界は再会の未来を予言したため、あまりお別れ感がなかったです。
此処のエピローグは「くーげる、引っ込んでてくれないかな……」と思いました。
ギャルゲーではないがギャルゲーっぽいシステムで、微妙にガチ恋の可能性を匂わせているエンディングなんだから、違う男を出さないでほしい。
そして2周目で追加されるエンディングは蛇足だと思いました。
特に濃いネタバレなので畳みます
消えた主人公の元個体が再生成されても、それは主人公が戻ってきたことにはならなくない⁉
完全に違う存在で、記憶もない。それって別人じゃないですか。Lが語った化歩の話はそういう方向性でしたよね⁉
主人公の記憶の卵は存在するかもしれないけど、存在として別人である以上、それで記憶が復活するのかよくわからないし……。
どうせ都合がいいハッピーエンドにするならとことん振り切ってほしい。
主人公が消えないとか、記憶はある状態で再生成するとか。
なんとでもなるでしょうよ! 『観測者』は上位存在なんだから!
っていうか主人公って本当に消えなきゃいけなかったのか、それもよくわかりません。
自分を動かしている想いを果たすと消えるっていう設定で動いてるテセラクターが主人公だけなんですよね。
この蛇足エンディングを追加する前提で考えると、その設定いるか……? 普通に存在が消えずに大団円で良かったのではないでしょうか……?
おわり